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ボットトラフィックとEC:不完全なデータでも自信を持って意思決定する方法

Qikify series bot traffic in ecommerce
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「複雑化するEC業界における主導権の取り戻し方」シリーズの前回記事では、AIが購買の意思決定の場所と方法をどう変えつつあるか、そしてストアオーナーやEC事業者がトラフィックの拡大だけでなく、意思決定の瞬間を最適化することにも注目すべき理由についてお伝えしました。

しかし、次の問題があります。あらゆる最適化はデータに依存しているということです。そのデータが信頼できないものだったらどうでしょうか?

EC業界で長く働いていれば、次のような経験に心当たりがあるはずです。

  • エンゲージメントデータをもとに商品ページをリニューアルしたものの、そのセッションの半分が本当に実在する購入者だったのか疑問に思った。
  • ROASが好調に見えたのでキャンペーンを拡大したが、流入元がボットセッションだらけだったことに気づいた。
  • 数百件のかご落ちに対してカート復旧メールを送ったが、半分がバウンスした。メールアドレスが偽物だったのだ。
  • A/Bテストを実施して勝者パターンを選んだが、両方のバリエーションにどれだけボットが含まれていたのか分からない。

レポートの数字が何かおかしいと感じても、その理由を証明できません。誰かが「ボットのせいだ」と言いますが、強力な技術チームを持つ大企業でもない限り、その問題が完全に解決されることはまずないでしょう。

この問題を誰も引き受けてくれません。責任は結局あなたにあります。そして、それでも意思決定はしなければなりません。

では、完全には信頼できないデータとどう向き合い、前に進めばよいのでしょうか?

この記事は、技術に詳しくない運営担当者、マーケター、営業チーム、EC担当者向けに書かれています。Cloudflareでのボット対策設定や、フィルター作成のステップバイステップガイドを提供するものではありません。

ボットが存在することは、皆さんもすでにご存じでしょう。データが100%クリーンであることなど、めったにないということも。ここで改めて説明することもしません。

その代わりに、私たちが取り組むのは別の問題です。境界線が曖昧なときに、どう意思決定するか。行動の根拠にできるほど信頼できるデータはどれか。疑ってかかるべきデータはどれか。そして、不完全な数字に振り回されないための実践的なフレームワークをどう構築するか、です。

この記事を読み終える頃には、ボットトラフィックがEC事業の意思決定をどう歪めるのかがはっきりと見え、それでも自信を持って行動し続けるための実践的な方法が身についているはずです。

この記事では、EC業界の専門家であるNahar Geva氏にもインサイトを伺いました。Nahar氏は2015年からEC起業家として活動しており、ZIK Analyticsの創業者兼CEOを務めています。

業界での実践的な経験を積み重ねる中で、EC業界で最も知られる商品リサーチプラットフォームのひとつを生み出すに至りました。

現在、ZIK Analyticsは世界中で30万人以上のセラーを支援しています。プラットフォームの提供にとどまらず、Nahar氏はスピーカーやメンターとしても高い評価を得ており、経歴や経験レベルを問わず、誰もがECを通じて経済的自立を実現できるよう支援することに情熱を注いでいます。

1. ボットの基礎知識と市場の変化

実践的なフレームワークに入る前に、簡単な基礎知識を押さえておきましょう。ボットにはどんな種類があり、どれがデータを混乱させるのか、という点です。

ボットは目的別に3つのカテゴリーに分類できます。

カテゴリー 何をするか
有益 検索エンジンのインデクサー、アクセシビリティチェッカー、承認済みの連携ツールなど ストアの発見や正常な動作を助けてくれます。歓迎すべき存在です。
好ましくない 価格スクレイパー、再入荷モニター、正体不明のクローラー、無許可の負荷テストツールなど 直接的な害はありませんが、データを汚しリソースを無駄にします。グレーゾーンです。
有害 DDoS攻撃、決済不正ボット、アカウント乗っ取りボット、模倣品スクレイパー、偽登録ボットなど ビジネスに実害を与えたり、データを盗んだり、不正行為を働いたりします。

もう少し分かりやすく言うと:

  • 親切なゲスト:Googleなどの検索エンジンで、あなたのストアを見つけてもらう手助けをしてくれます。歓迎すべき存在です。
  • 迷惑な隣人:価格や在庫情報をスクレイピングする競合他社です。お金を盗むわけではありませんが、データを詰まらせ、リソースを無駄にします。
  • 侵入者:アカウントを乗っ取ったり、盗んだクレジットカード情報をテストしたりする詐欺師です。実際に金銭的な被害をもたらす存在です。

💡豆知識:CAPTCHAが人間とボットをどうやって見分けているか、ご存じですか?

人間の行動は乱雑で、ボットは正確です。CAPTCHAはまさにこの違いを利用して作られています。

人間は迷ったり、スクロールを戻したり、「間違った」クリックをしたりします。一方でボットは完璧で、毎回ぴったり11.5秒だけページに滞在するといった具合です。もし「完全に同一」の行動パターンを持つ訪問者の集団を見つけたら、それは似た者同士の購入者グループではなく、スクリプトを見ているということです。

しかし、これこそが高度なボットほど見分けづらい理由でもあります。ランダム性を加えることを学習しつつあるからです。

では、AIクローラーはどうでしょうか?購入者のように振る舞うのでしょうか?

結論から言うと、いいえ。

正規のAIクローラーは、ユーザーエージェントで身元を明示し、コンテンツを取得し、robots.txtのルールに従います。購入行動をシミュレートすることはなく、購入者ではなく従来の検索エンジンクローラーのように振る舞います。

そのため、正規のAIクローラーがストアに偽の購入アクションを追加する心配はありません。

注意すべきAI関連の脅威は別のところにあります。悪意ある第三者がAIを使って人間の行動を模倣する「AI支援ボット」です。これについてはセクション3で解説します。

簡単にまとめると:

  • 良いボット:検索エンジン、正規のAIクローラー、モニタリングツールなど。歓迎すべき存在です。
  • 悪いボット:データスクレイパー、転売ボット、決済不正ボット、アカウント乗っ取りボット、偽登録、そしてチェックアウトや認証、データのエンドポイントを悪用するボットなど。

すべてのボットを特定する必要はありません。すべてを防ぐ必要もありません。それはITチームの仕事です。

bots in ecommerce

運営担当者としての出発点はもっとシンプルです。ボットの行動がどこで意思決定を歪めているのかを理解し、それにどう対処するかを知ることです。

Nahar Geva氏:

ボットトラフィックは昔から存在していますが、正直なところ、実際のコンバージョンに関してはそれほど大きな問題にはなりません。正しいデータに注目していれば、ボットトラフィックは無関係になります。ボットは実際に何かを購入することはできません。訪問者数や閲覧数を水増しすることはあっても、結局のところ「Add to Cart」「Initiate Checkout」「Purchase」といったイベントは、実在する人間しかトリガーできないからです。ですから、購入やROASを軸に最適化しているのであれば、すでにノイズを取り除けており、ボットトラフィックはもはや問題にはなりません。

2. 影響を診断する:いつ・どこで・どの指標か

ボットトラフィックの影響を完全に切り分けたいと思う方もいるでしょう。しかし、正直に言えば、ほとんどのEC事業者にとってそれは不可能です。

だからといって、受け身になるべきという意味ではありません。データがクリーンであろうと汚れていようと、意思決定できるようになることが大切です。

DataDomeの2024年版Global Bot Security Reportによると、悪質なボットから完全に保護されているECサイトはわずか約10%にとどまります。65%以上のサイトが、単純なボット攻撃にすら対策を講じていません。オンラインストアを運営しているなら、ボットトラフィックはほぼ間違いなくすでにあなたのデータに紛れ込んでいます。

つまり、最も賢い動きは完璧にクリーンなデータを追い求めることではありません。影響を診断すること——ボットトラフィックがいつ急増し、どこに現れ、どの指標を歪めるのかを把握することです。

2.1 いつ急増するのか?

決まった「攻撃シーズン」があるわけではありません。しかし、ボットトラフィックはブラックフライデーやホリデーセールなど、トラフィックが集中する大型セール時期に急増する傾向があります。

理由はシンプルです。こうした時期は誰もが活発になります。事業者はツールを使って市場調査や競合モニタリング、トレンド追跡を行い、購入者が大挙して押し寄せます。そして攻撃者は、その膨大なトラフィックに紛れ込む好機として利用するのです。

とはいえ、攻撃は季節限定ではなく、今や一年を通して発生しています。繁忙期のセールイベントは、トラフィックの多さがボットにとって身を隠す絶好の機会になる、最も注意すべきタイミングというだけです。

こうした時期は、指標の見方に特に注意してください。成長のように見える数字が、実はノイズにすぎないこともあります。

2.2 どこで、どのデータが影響を受けるのか?

すべての指標が同じように脆弱というわけではありません。カスタマージャーニーに沿って、歪みが生じやすい指標を整理すると以下の通りです。

  • 流入元別セッション数。ボットトラフィックは「Direct(直接)」や「None(なし)」に集中しがちで、そのチャネルの数字を不自然に水増しします。
  • 商品ページの閲覧数とエンゲージメント。偽の訪問により、どの商品が本当に購入者の関心を集めているのか判断しづらくなります。
  • カート追加率。購入行動を模倣するボットがこの指標を水増しし、実際よりもファネルが健全に見えてしまいます。
  • かご落ち率。完了しないボット発のチェックアウトにより、この数字は信頼できなくなります。
  • メール登録・サインアップフォーム。偽の送信によってリストが汚れ、コストのかかる自動化ワークフローが不必要に発動してしまいます。
  • キャンペーンのアトリビューション。広告リンク経由でボットが流入すると、ROASの計算が狂います。

重要なのは、これらの指標の中にはクリーンなものもあれば、ノイズが多いものもあるという点です。すべてが同じように歪んでいるわけではありません。

googl analytics purchase journey

Google Analyticsにおける購入ジャーニービューの例

Nahar Geva氏:

閲覧数や訪問者数、クリック数が水増しされている一方でコンバージョン率が低い場合、それはボットトラフィックのサインです。もちろん、ボットトラフィックがそれほど多くなく、ボットか人間かの判断が難しいケースもありますが、結局のところ重要なのは購入という行動です。ですから、あるキャンペーンが好調でプラスのROASを生み出しているなら、その他の「トラフィック」データは完全に無視して構いません。

では、特定の指標に実際にボットが影響しているかどうかは、どうすれば分かるのでしょうか?この問いに対する私なりのアプローチをご紹介します。

強力なITチームがいるなら、データをフィルタリングしてクリーンな数字を出してもらいましょう。それが理想的なシナリオです。

そうでない場合は、自社のベンチマークと比較しましょう。着目すべきポイントは以下の通りです。

  • セッションが急増した?その内訳を確認しましょう。直帰率が通常の範囲内にあるか、それとも異常に低く(または高く)なっていないかをチェックします。
  • 商品ページの閲覧数が急増した?エンゲージメント時間を確認しましょう。人間の行動は乱雑で、ボットは正確だということを思い出してください。エンゲージメント時間がセッション間でほぼ同一で、滞在時間もパターンも同じであれば、ボットである可能性が高いです。
  • かご落ちが急増した?セッションリプレイを確認しましょう。実在する購入者は、それぞれ異なるステップ・異なるタイミングで離脱します。ボットは同じステップ・同じタイミングで離脱します。

パターンはいつも同じです。異常値を、自社のストアにとっての「通常」と比較すること。あなた自身のビジネスに関する経験と知識こそが、れっきとした診断ツールなのです。

もうひとつ覚えておきたいのは、今まさに必要な意思決定が、歪んでいる指標に関係しないのであれば、一息ついても大丈夫だということです。ノイズの多い数字のすべてに、即座の対応が必要なわけではありません。

「すべてを無視しろ」と言っているのではありません。「慎重に解釈しよう」と言っているだけです。

⚠️ 知っておきたいこと:アナリティクスの死角

アナリティクスのダッシュボードが把握できるのは、JavaScriptを読み込み、Cookieを許可した訪問者だけです。玄関から入ってきて、ゲストブックに記帳してくれる訪問者だけを見ていると考えてください。

一方、サーバーはすべてを把握しています。あらゆるリクエスト、あらゆるドアのノックを——トラッキングピクセルを完全に迂回するボットも含めて。

だからこそ、ホスティングログではトラフィックの嵐が起きているのに、ダッシュボードは至って平穏に見えることがあるのです。この2つの間にギャップがあると気づいたら、それは可視性の問題であり、何か自動化されたものがレーダーの下でストアにアクセスしているサインである可能性が高いです。

以上が基礎知識です。それでは、実践的なフレームワークに入りましょう。

3. 指標のためのデータ信頼性の階層

ここまでで診断は済みました。ボットトラフィックがいつ急増するかも分かりました。どの指標が歪みやすいかも分かりました。アナリティクスツールの死角についても感覚をつかめたはずです。

さて、あなたは今ダッシュボードの前に座っています。問いは変わりません。「この数字のうち、実際に使えるのはどれか?」ということです。

ほとんどの運営担当者がここでつまずきます。データが不足しているからではなく、信頼できるシグナルとそうでないものを仕分ける方法を持っていないからです。

既存の情報も、あまり役に立ちません。ボットトラフィックをひとつのバケツにまとめ、人間以外の訪問をすべて同じ脅威として扱ってしまうからです。これは誤解を招きます。

ボットの種類が違えば、生まれる歪みも異なります。歪みの種類が違えば、影響を受けるデータの部分も異なります。それが見えてくると、問いは次のように変化します。

「自分のデータは間違っているのか?」と問うのをやめて、もっと役立つ問い「このデータは、この特定の意思決定に十分足るものか?」を投げかけるようになるのです。

このセクションでは、その仕組みを構築していきます。

3.1 ボットごとに異なる歪み

先ほど、目的別にボットを「有益」「好ましくない」「有害」の3つのカテゴリーに分類してご紹介しました。

それぞれが、どのようにデータを異なる形で歪めるのかを見ていきましょう。

カテゴリー 運営者 目的 トラフィック規模
AIプラットフォームのクローラー OpenAI、Google、Anthropicなど インデックス作成、モデルの学習 中程度
SEO/データボット 代理店、ベンダー、競合他社など スクレイピング、価格モニタリング、順位トラッキング 高い
攻撃ボット ハッカー 不正行為、悪用、アカウント乗っ取り 非常に高い
AI支援ボット 誰でも スクレイピングから不正行為まで何でも 爆発的な増加
seo rank bots ai crawlers attack bot

もう少し詳しく見ていきましょう。

AIプラットフォームのクローラーは、インデックス作成やモデルの学習を行っています。通常はユーザーエージェントで身元を明示し、robots.txtのルールに従い、購入行動をシミュレートすることはありません。ページのコンテンツを取得したら、そのまま次へ移動します。これらが生み出すデータの歪みは、コンテンツや商品ページの閲覧数の水増しにほぼ限られます。閲覧数が急増しているのにエンゲージメントやカート追加行動に変化がない場合、これが原因である可能性が高いです。

SEO・データボットは、価格や在庫レベル、キーワード順位、商品情報を求めてサイトをスクレイピングしています。商品ページを繰り返しクロールする存在で、エンゲージメント指標を水増しする大きな要因のひとつです。どの商品が本当に購入者の関心を集めているのか、それとも単に競合他社に監視されているだけなのかを見分けにくくします。

攻撃ボットは、あなたのシステムを悪用するために存在します。決済不正、アカウント乗っ取り、偽登録、チェックアウトの悪用などです。これらは、チェックアウトや取引データを最も大きく歪めるボットです。かご落ち率を水増しし、失敗した取引のノイズを生み出し、偽のメールアドレスでメールリストを汚染します。

AI支援ボットは、最も新しく、最も急速に増えているカテゴリーです。誰でも、どんな目的でも運用でき、AIツールをこれほど高性能にしているのと同じ大規模言語モデルによって動いています。従来との違いは、より人間らしく振る舞うことを学習している点です。タイミングにランダム性を加え、IPアドレスをローテーションし、実際の閲覧パターンを模倣します。その増加は爆発的で、従来のボット検知が頼りにしてきた予測可能なパターンに従わないため、最も検知が難しい存在です。

実践的なまとめ:歪みの種類が発生源を教えてくれる

  • コンバージョンに変化がないのにページビューが急増?おそらく有益なクローラーか、好ましくないSEOボットです。歪みはトラフィック量とページビューの指標に現れます。
  • カート追加のノイズ、かご落ちの急増、決済失敗?AIプラットフォームではありません。取引ファネルを狙う有害なボットのサインです。
  • 人間らしい行動なのに、タイミングが不自然なほど一定?AI支援型の攻撃者です。この歪みは実在の顧客データに紛れ込むため、切り分けるのが最も困難です。

ボットが違えば、歪みも違う。そして次に見ていくように、それらが触れるデータへの信頼度も違ってくるのです。

⏰ちょっと休憩:AIボットに関する興味深い最新情報

  • AIボットはウェブトラフィックの主要な発生源になりつつある(Toiibitによる2025年第3・第4四半期のState of Bots Report)
  • 自動化されたトラフィックは、AIおよびLLM駆動のボットに牽引される形で、すでに人間によるトラフィックを上回っている。悪質なボットは全トラフィックの37%を占める(Impervaのレポートより)
  • DataDomeのレポート(2025年第4四半期)では、悪質なボットや望ましくないAIトラフィックに対して最も対策が手薄な業界として、通信、テクノロジー/ソフトウェア、ゲーミングが挙げられている。

3.2 データ信頼性モデル

このモデルは、「このデータをボットが偽装するのはどれだけ難しいか」というひとつの問いに基づいて、EC事業の指標を3つのレベルに分類します。

各レベルは、それが確実に裏付けられる意思決定の種類に対応しています。

高信頼シグナル

完了した注文、売上、返金率、決済データ。

これらは、ボットが最も操作しにくい指標です。実際にお金が動く必要があるからです。ボットはページビューを水増ししたり、登録フォームにスパムを送ったりすることはできますが、有効な決済手段を使った正規の購入を完了させることはできません。

これらはあなたの意思決定の土台です。売上パフォーマンス、チャネル別ROI、在庫の再発注、予算配分などについて判断する際は、これらの数字を頼りにしてください。

例:ある商品がトレンドになっているように見える。その判断をページビューだけに基づいて下してはいけません。完了した注文を確認しましょう。注文数が好調であれば、ページビューがどれだけ水増しされていようと、そのトレンドは本物です。

中信頼シグナル

配送ページへの到達、メールアドレスの入力、決済方法の選択といった、チェックアウト途中のアクション。ログイン済み顧客のアクション。リピート購入、レビュー投稿、サポート対応といった購入後の行動。

これらにはある程度の認証やコミットメントが伴うため、単純なボットには生成しにくいものです。しかし、今日では高度なボットであれば、特にチェックアウトのステップやログイン活動を歪めることは依然として可能だと私たちは考えています。

中信頼シグナルは、ファネルの最適化や顧客セグメンテーションに活用しましょう。ただし、影響の大きい判断をする際は慎重に扱ってください。

例:新しいチェックアウトフローをテストしている。中信頼データは方向性の参考にはなりますが、恒久的な変更に踏み切る前には、完了した注文や売上と照らし合わせて確認しましょう。

💡 専門家からのヒント:チェックアウトバリデーションでファネルのノイズを減らす

複数ページのチェックアウトを採用しているストアであれば、バリデーションルールを追加することが、偽の・不完全なチェックアウトアクションがファネルの深い段階まで進むのを防ぐ実践的な方法です。

Shopifyのチェックアウトカスタマイズアプリを使えば、セッションが先に進む前に、カートの内容や注文金額、連絡先・配送情報に関する条件を設定できます。これでボットの活動を完全になくせるわけではありませんが、ハードルを十分に上げることで、中信頼シグナルを大幅にクリーンにできます。

さらに、チェックアウトバリデーションは条件を満たさない注文の除外にも役立ち、情報の不備や誤りについて顧客にフォローアップする手間も減らしてくれます。

qikify checkout customizer - checkout validation

Qikify Checkout Customizerアプリによるチェックアウトバリデーションの例

低信頼シグナル

セッション、匿名のページビュー、カート追加イベント、メール登録、滞在時間やスクロール深度といったエンゲージメント指標。

これらは、ボットにとって最も生成しやすく、検証が最も難しい指標です。

1つのスクレイピングボットが数百件のセッションを作り出すこともあれば、フォームスパムボットが一晩で数千件もの偽メールアドレスをリストに追加することもあります。競合他社の価格モニタリングツールが、ページビューだけを理由にある商品を異常に人気があるかのように見せることもあります。

低信頼シグナルは、あくまで方向性を把握するために使いましょう。何かが起きていることは教えてくれますが、それが何で、なぜ起きているのかを、重大な意思決定を正当化できるほどの確信をもって示してはくれません。

覚えておきたい3つのルール:

  1. コンバージョンが伴っているかを確認せずに、トラフィックの急増だけを理由に広告費を増やさない。
  2. 実際の購入行動を確認せずに、ページビューだけを理由にホームページで商品を特集しない。
  3. 初回配信後のバウンス率やエンゲージメントを確認せずに、メール登録数を額面通りに信用しない。

このモデルの早見表:

信頼レベル シグナル 使いどころ 意思決定の例
高信頼 完了した注文、売上、返金率、決済データ 売上に関する意思決定、チャネル別ROI、再発注、予算配分 「この商品を再発注すべきか?」ページビューではなく、完了した注文を見る。
中信頼 チェックアウト途中のアクション、ログイン済みアクション、購入後の行動 ファネルの最適化、顧客セグメンテーション(条件付き) 「新しいチェックアウトフローは改善されたか?」完了率を確認し、実際の売上でも検証する。
低信頼 セッション、ページビュー、カート追加、メール登録、エンゲージメント指標 あくまで方向性の参考として。行動前に他のデータと照合する。 「この商品はトレンドか?」ページビューはそう示していても、特集する前に注文数を確認する。

この仕組みの目的は、あなたをデータに対して疑心暗鬼にさせることではありません。行動を起こす前に、ある数字にどれだけの重みを置くべきかを一貫した基準で評価できるようにすることです。

リードスコアリングのようなものだと考えてください。最も有望な見込み客にアプローチする前に、リードを評価しランク付けしますよね。それと同じステップを、意思決定の前にデータに対して適用するのです。

実際にはこうなります。チームの誰かが「今月はトラフィックが30%増えている。予算を増やして拡大すべきだ」と言ったとします。

ボット調査を始める必要はありません。ただひとつ問いかければいいのです。「トラフィックは、そのまま意思決定に使える指標か、それとも検証が必要な指標か?」と。

答えは「検証が必要」です。ですから、誰かが予算を調整する前に、売上や完了した注文と照らし合わせましょう。そこでも成長が見られるなら、行動に移してよいでしょう。見られないなら、決断する前にさらに掘り下げるべきです。

4. Shopifyが裏側で行っていること(と、そのギャップ)

この記事の目的は、不完全なデータでもより良い意思決定をすることであり、技術的な解決策を提供することではありません。

とはいえ、自社のプラットフォームがすでに裏側で何をしているのかを知っておくことは役立ちます。その文脈を知ることで、数字の読み方が変わってきます。

Shopifyを利用しているなら、知っておく価値のある最近の3つの変更点があります。

  • 「Human or Bot Session」ディメンション:実際の顧客セッションと自動化されたトラフィックを切り分けられる、新しいレポートフィルターです。
  • robots.txtの境界線:人間によるレビューなしで自律型AIエージェントが決済を完了することをブロックする、新しいデフォルトルールです。
  • Shopify Flowによる自動化:不審な注文を保留にしたり、異常な活動に対してアラートを発動させたりするカスタムルールです。

技術的な詳細を理解する必要はありません。重要なのは、これらが存在することと、それらがデータの評価方法とどう関係しているのかを知っておくことです。

ボットフィルタリングのアップデート

運営担当者にとって最も関係の深い変更は、2025年10月7日に導入された「Human or Bot Session」ディメンションです。ダッシュボード内で直接、Shopifyのアナリティクスをフィルタリングし、実際の顧客セッションと自動化されたトラフィックを分離できます。

これにより、次のことが可能になります。

  • コンバージョンにつながらないボットセッションを除外し、実際のコンバージョン率を確認する。
  • 流入元を比較し、どのチャネルが実在の購入者をもたらしているか、どのチャネルがボットによって水増しされているかを特定する。
  • セッション数、コンバージョン率、訪問者数といった、セッション関連の標準的な指標すべてにこのフィルターを適用する。
shopify filter to define human and bot sessions

Shopifyが人間とボットの活動をどう定義しているか

Shopifyは、ヘッドレスおよびHydrogenストアでもこの機能を利用できるようにする計画を発表しています。フィルターの適用方法については、Shopifyヘルプセンターのボットフィルタリングに関する記事をご確認ください。

知っておくべき制限もあります。このフィルターはセッション関連の指標にのみ適用され、対象データも2025年10月7日以降のものに限られます。セッションの検証には24〜48時間かかるため、データはリアルタイムでは「汚れて」見え、2日後には「クリーン」に見えるという状態になります。重要な点として、このフィルターはレポートの数字を修正するものであり、その瞬間にボットがMetaやGoogleのピクセルを発火させるのを止めるものではありません。Shopifyがボットにフラグを立てる前に、あなたの広告アルゴリズムはすでにそのボットを「見て」しまっているのです。

有料広告キャンペーンを運用する担当者にとって最大のギャップ:
このフィルターは、ボットがリアルタイムでマーケティングピクセルを発火させるのを防いではくれません。MetaやGoogleの広告アルゴリズムは、ボットが生成したものも含め、受け取ったあらゆるシグナルから学習します。RedditやShopifyコミュニティでの議論を見る限り、ほとんどのストアがボットトラフィックの問題に直面しているのは、特に有料広告プロモーション中です。トラフィック量が多いほど、ボットが紛れ込みやすくなるためです。

有料キャンペーンでこうした問題に直面したことがあるなら、キャンペーンの高度なターゲティングルールや除外ルールの作成に時間をかけることをおすすめします。ボットを完全に防ぐことはできませんが、フィルターを絞り込んで予算を守ることは確実にできます。

データ信頼性モデルの観点で言えば、このフィルターは低信頼シグナルの改善に最も役立ちます。人間のみにフィルタリングすることで、セッション、ページビュー、流入元データの信頼性がすべて高まります。高信頼シグナルはもともとボットが偽装しにくいものだったため、変わりません。

より深い保護と分析のためのサードパーティツール

Shopifyの標準ツールは意義ある前進です。しかし、すべてを解決してくれるわけではありません。Shopify Plusプランであっても、このフィルターで十分に捕捉できているかどうかについて、コミュニティチャンネルでは多くの不満の声が上がっています。

それが問題になる場合は、サードパーティツールが助けになります。大きく2つのカテゴリーに分かれます。

保護アプリ:悪質なトラフィックがデータに到達する前にブロックするためのアプリです。人気の選択肢としては、Dissable Right Click & NoSpy(スパイ、ボット、VPNなどからストアを保護)、Blockify(IP、国、VPNブロックによる、より幅広いストア保護)などがあります。

高度なアナリティクスプラットフォーム:PostHogやMixpanelなどです。Shopifyと連携し、セッションリプレイ、カスタムイベントトラッキング、ファネル分析、ユーザーセグメンテーションを提供します。ボットをブロックすることはできませんが、データを深く掘り下げ、不審なパターンを見つけ出し、信頼レベルをまたいでシグナルを照合できます。どちらも小規模ストア向けの無料プランを提供しています。

posthog filter bot events

PostHogでボットイベントをフィルタリングする設定

今すぐこれらを導入する必要はありません。しかし、標準フィルターを使っていてもデータの信頼性に不安を感じ始めたら、これらが次に検討すべきステップです。

Shopifyプランごとの違い

BasicおよびStandardプランでは、あらかじめ用意されたレポートと「Human or Bot」セッションフィルターが利用できます。データ信頼性モデルを実践するほとんどの運営担当者にとって、これで基本は十分にカバーされます。

Shopify Plusでは、さらにShopifyQL Notebooksが追加され、技術的な知識を持つユーザーや代理店が高度なクエリを実行して複雑なボットのパターンを特定したり、カスタムレポートを作成したりできます。

すべてのShopifyプランにおいて、Shopifyは、人間によるレビューなしで自律型AIエージェントが購入を完了することをブロックするよう、デフォルトのストアフロントルールを更新しました。これにより、信頼性モデルの頂点に位置する意思決定に直結する指標である、取引データとチェックアウトデータが保護されます。設定は不要で、プラットフォーム側で処理されます。

標準プランを利用するほとんどの事業者にとって、この標準フィルターとセクション3の信頼性モデルを組み合わせれば、かなりのところまでカバーできるはずです。

すべてのEC事業者へ、Nahar Geva氏からの最後のアドバイス:

ECセラーとして、私たちはビジネスのさまざまな領域でデータに基づいた意思決定を行っています。しかし、最も重要なデータドリブンな意思決定は、実はいちばん最初のステップ——何を売るかを決める瞬間に起きていると思います。多くの新規セラーは早く始めたいがゆえに焦り、最初に思いついた商品こそが自分の「当たりくじ」だという誤った思い込みに陥りがちです。残念ながら現実は、平均的なセラーが勝てる商品を見つけるまでに約10種類の商品をテストする必要があるというもので、まさにそこでほとんどの人がつまずき、あきらめてしまうのです。

人生におけるあらゆるチャンスと同じで、私たちは良い機会と悪い機会を見分けられるようになる必要があります。それはどういうことでしょうか。簡単に言えば、たとえ始める前に1週間かけて探すことになったとしても、一切妥協せずに、あらゆる基準を満たす勝てる商品を粘り強く探し続けるということです。加えて、1つの商品だけに頼らないことも重要です。最初の商品がうまくいくとは限らないため、複数の商品をテストする準備をしておく必要があります。

これを正しく行うには、セラーは販売履歴やトラフィックデータ、広告データを提供するアナリティクスツールを活用し、それらのデータポイントを常識的な判断と組み合わせて商品を選ぶ必要があります。

どのマーケットプレイスで販売していようと、自社のShopifyストアを持っていようと、eBayのセラーであろうと、ドロップシッパー、ブランドオーナー、在庫を抱えるセラーであろうと、何を売るかを決めるにはデータを活用する必要があります。それこそが、実際の売上を生み出す勝てる商品を見つけ、EC事業者として成功する確率を高める方法です。現時点でEC事業者やドロップシッパー向けの主要な商品リサーチツールはZIK Analyticsです。

5. 自信を持って締めくくる

かなり多くの内容をカバーしてきました。全体像をしっかり持ち帰っていただけるよう、簡単に振り返っておきましょう。

ボットはすでにあなたのデータに紛れ込んでいますが、それは問題ありません。すべてのボットが同じものに影響するわけではありません。どの種類がどの指標に影響しているかが分かれば、対応するための立ち位置はすでにずっと良くなっています。

反応する前に診断し、自社のビジネスに使えるデータ信頼性モデルを持ちましょう。迷ったときは、予算・在庫・戦略に踏み切る前に、他のデータと照合してください。

プラットフォームは助けになりますが、ギャップもあります。必要であれば、サードパーティツールでそのギャップを埋めることができます。

そして、これらすべてをつなぐ、たったひとつの意識の転換があります。

「自分のデータはクリーンか?」と問うのをやめましょう。

代わりに「このデータは、この特定の意思決定に十分な信頼性があるか?」と問いかけましょう。

すべてのボットをブロックする必要はありません。完璧なアナリティクスも必要ありません。必要なのは、目の前の意思決定にとってどの数字が重要なのか、そしてそれが行動の根拠にできるほど信頼できるのかを知ることだけです。

それこそが、運営担当者にとっての「主導権を握る」ということです。

本記事は、全7回シリーズ「複雑化するEC業界における主導権の取り戻し方」の第1回です。

次回のシリーズでは、これらすべてが収束する場所——チェックアウトに向かいます。そこでは、あなたのデータが売上に変わり、顧客体験が試され、ダッシュボードと現実のギャップが現実のものとなります。ではまた次回。

about the author

Lauren Nguyen

Lauren Nguyen

Qikify グロースマーケティングスペシャリスト

こんにちは!Qikifyのデータドリブンなマーケター、ローレンです。 私のミッションは、ShopifyをはじめとするECマーチャントの皆さまに、オンラインストアの成長と売上アップに直結する価値あるインサイトと効率的なソリューションをお届けすることです。 この業界に関わって以来、常に「皆さまの成功を後押しすること」を目標に、知識やノウハウを共有してきました。 マーケティングに夢中でないときは、美味しい朝のコーヒーで1日をスタートしています。(正直なところ、午後の一杯が必要な日も多いですが!☕) LinkedInでもお気軽にご連絡ください。マーケティング仲間やストアオーナーの皆さまとお話ししたり、新しいアイデアやコラボレーションの機会を見つけるのが大好きです。 一緒に、あなたのオンラインビジネスをさらに高みへと成長させましょう!